あらすじ・内容
輪郭は強烈な輝きを放っているのに、 彼の中心は闇に沈み、 謎めいたまま―― ひったくりの犯人を突き止めた。 事件はそれで終わらなかった。 私たちは、ある男が歩んだ道を辿り直すことになる。 本屋大賞候補作家、渾身の長編 知人の老女がひったくりに遭う瞬間を目にした大学生の春風は、その場に居合わせた高校生の錬とともに咄嗟に犯人を追ったが、間一髪で取り逃がす。犯人の落とし物に心当たりがあった春風は、ひとりで犯人捜しをしようとするが、錬に押し切られて二日間だけの探偵コンビを組むことに。かくして大学で犯人の正体を突き止め、ここですべては終わるはずだったが――いったい春風は何に巻き込まれたのか? 『パラ・スター』『カフネ』の俊英が、〈犯罪と私たち〉を切実に描き上げた、いま読まれるべき傑作長編。 解説=瀧井朝世